小学校の卒業式。校長先生の祝辞がとても長かった。朝礼や始業式、終業式などの校長先生のお話は、いつも簡潔でわかりやすく、嫌だと思ったことはなかったのに、その日の卒業式のお話はとても長く感じられ、式の後、何を話されていたかもあまり心に残らなかった。次の年、校長先生は、その学校を去られ、他の職場へ移動されたので、色々な思いが溢れ長いお話になったのかもしれない。式の後、体育館の外を出て、校門まで在校生の子たちに見送られ歩いていき、解散になった後も私を含め子どもたちに声をかけてくださった。ずっと前のことなのに、今でも校長先生の顔を覚えている自分に驚いている。背は高くないけれど、姿勢が良く、いつも微笑んでいるような優しい表情の先生だった。
大人になってから、6年生のときの担任だった先生とお話をする機会があり、校長先生の話がお上手で、いつも面白かったという話をしたら、意外なことがわかった。校長先生は、いつも話すことをきちんとメモしていらして、同じ話をしないようにしていたとのこと。話をするのにしっかり準備をされていたなんて思いもよらなかった。もちろん準備をすればいいお話ができるわけではないので、先生の人柄や経験などいくつもの要素が集まって、小学生の子どもにもわかりやすく、なるほどなと思わせる話ができたのだろうと思う。上手に話ができるのには、それなりの理由があるのだなと思った。
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