有松絞り

生き方・考え方

 有松絞りを教えてくれた先生は、年配の男性でした。染色をしておられるそうです。4代目とのことでした。私達にかけられた言葉は、どんな物ができるかわからないから挑戦してみよう、手が動くようにやる方法もある、新しい模様ができるかもしれない、とても創造的な人だなと思いました。初めは、4代目と聞いて代々受け継がれてきた伝統を大切に受け継いでいるという印象を持ちましたが、新しいことにも次々と挑戦する方でした。ご自身の身につけていた黒のパンツは、縦に何本も折り目の付いたものでしたが、それも圧力鍋を使って絞りの技術を使って作られたものでした。ただ、古いものを頑なに守っていくだけでなく、そこに新しいものも取り入れていく柔軟さが素晴らしいなと思いました。有松には、若手の人たちも入ってきていて自分たちで、いくつかの工程を行う人もいるようです。

 本来の有松絞りの作られ方は、細かく分業されていて、デザインして模様を布地に書く人、絞りをする人、染める人など専門の人たちが一緒になって一つのものができていきます。びっくりしたのが、絞りにはいろいろなタイプのものがあるのですが、1人1タイプのものしか作らないそうです。絞り会館で実演していたおばあちゃん二人は、それぞれ違うやり方をしていました。お一人は、布を小さくつまんで糸で結んでいくやり方、もうお一人は、並縫いをしていました。随分なベテランでいらっしゃると思うのですが、1人一タイプということは、お若い頃からずっとそのやり方のみをしてきたということになります。一つをずっと極めて技術を守っていく繋いでいく、それも素敵だなと思いました。

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