言葉の難しさ

考えて物を言わなければならない

 小学校5年生のとき、子供会でドッジボール大会がありました。同じ班の6年生の女の子は運動神経抜群で、運動会では、リレーの選手に選ばれるような子でした。普段から仲良くしていて、よく一緒に遊んでいました。

 夏休みのある日、地区の子供会でドッジボール大会がありました。その女の子は、6年制で班長でもあったし、おそらく中心になって頑張ろうと張り切っていたと思います。でも、体調を崩して試合に出られなくなり、救護室のようなところで休んでいました。私は、ゆっくり休んでもらいたくて、「〇〇ちゃんがいなくても大丈夫だよ。」と言いました。すると、彼女は泣いたんです。私は、びっくりしました。優しい気持ちで言ったつもりなのに泣かしてしまい、どうしたら良いのかと動揺しました。次に掛ける言葉が見つからず、黙ってしまいました。彼女には、あなたは必要ないと受け取られてしまったと思ったからです。

 その時から、人に何かを言うことに臆病になってしまいました。自分の言うことが人の気持ちを傷つけてしまうのではないかと考えるようになったからです。言葉で、自分の気持ちを100%伝える事はできないと気づいた瞬間だったかもしれません。

伝える努力

 日本で生まれて、日本で育っているので、日本語で自分の気持ちや考えを伝えることは難しいことだとは思っていませんでした。でも、日本語で話しても自分の気持ちが正しく伝わらないことに気づいたのです。言葉は気持ちや考えを伝えるツールであって、正しく使う必要があるし、伝えるための練習が必要なのだと思います。ついつい自分の気持ちを100%伝えられるように思ってしまいがちですが、そんなことは到底無理なことなのでしょう。

 正確に伝えるために、笑顔で話したり、丁寧に説明したりすることも必要なのだと思います。一度口に出した言葉は、もう引っ込めることはできません。心のうちでよく考えて話さなければいけないなと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました