山の中
母の実家は山の中で、母が通った小学校は、分校であるにも関わらず、山道で4キロあったそうです。祖父母のお墓は、その母の実家の裏山の中腹にありました。麓から、4つほど山を越えていきます。細い峠道を車で通って行くので、ドキドキします。お盆と、春と秋のお彼岸には必ずお参りに行っていました。祖父母は二人とも、私が物心つく前に亡くなっているので、写真の姿しか知りません。
もう誰も住んでいない家の裏山へは、小さな川にかかっている小さな橋を渡って行きます。丸太を3本ほど並べた橋です。橋を渡ると、細い山道を5分ほど登っていくとお墓がありました。川の水は冷たく澄んでいて、橋を渡り終わると水辺へ降りて、触っていました。秋は、栗が落ちていて拾って帰ったこともあります。
お墓
お墓と行ってもきちんとした墓石ではなく、大きめの石が置いてあるだけです。祖父と祖母のものが隣り合わせに並んでいました。その隣には、小さくして亡くなったわたしの叔父や叔母のものも並んでいました。まだ、土葬だったようで頭の方は、踏まないように言われたのを覚えています。家から持っていったお花を供え、ろうそくに火をつけ、線香をたてました。子供の頃は、近況を報告するというよりは、お願い事をしていたような気がします。
新しいお墓
十数年前に、叔父が、町にある自分の家の近くにお墓を移しました。叔母が40代で亡くなったので、そのお墓と山にある祖父母のお墓の2つを参るのが大変だったのでしょう。立派な墓石があります。持ってくる遺骨が残っていたかは分かりませんが、手順を踏んで、移しているはずです。でもやっぱり、新しいお墓はなんだかよそよそしくて、その後も時折、山までお墓参りに行っていました。
祈ること
今は、主人の父母のお墓参りに行きます。家の近くです。手を合わせて、お願い事はしません。家族の近況報告、仲良く健康に過ごせているお礼、父が早く亡くなって、その後一人だった母が30年ほどして亡くなったので、仲良くしてくださいねって言っています。お墓の前で手を合わせると、今の自分達が何事もなく平穏に暮らせていることへの感謝の気持が、自然に溢れてきます。
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